こんにちは。ワークスアイディの奥西です。
2025年は「AIエージェント元年」とも呼ばれ、業務に使えるAIサービスがどんどん登場していますよね。
音声操作が可能な「ボイスエージェント」も現実味を帯びてきて、AI活用の選択肢が広がる一方、
「何から始めればいいかわからない」
「導入しても成果が出ているか分かりにくい」
といったご相談をいただくことも多くなってきました。
その中で、今特に注目されているキーワードが
AIを導入・活用する際に、人がどのように関与し、協働していくのか。
これは単なるテクノロジー導入ではなく、人とAIの“新しいチームのあり方” を考えるうえで欠かせない視点です。
本コラムでは、ワークスアイディのAI伴走支援コンサルティングの現場経験をもとに、
AI推進において意識すべき「4つのポイント」と「ヒューマン・イン・ザ・ループ」の視点から捉えた「3つの考え方」をご紹介していきます。
ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)とは?
ヒューマン・イン・ザ・ループとは、AIが完全自動で動くのではなく、
AIはあくまで与えられた学習データに基づいて判断を行いますが、そこには無意識のバイアスが含まれている可能性があります。
そのため、人間がAIの出力をチェックし、フィードバックを与えることで、
特にAI導入の初期フェーズでは、
人間の介在を前提に運用設計を行うことでリスクを抑えながら、安全かつ効果的に活用を進めることができます。
ヒューマン・イン・ザ・ループを取り入れた「3つの協働パターン」
HITLの考え方を踏まえると、実際の業務では「人とAIがどう役割分担するか」がカギになります。
ここでは、HITLに基づいた協働のかたちを3つに分類してみましょう。
パターン1) 人が主な業務を担い、AIがサポート
人間が中心となって意思決定や判断、創造的な作業を担当し、
AIはその効率化や精度向上をサポートします。
具体例
・営業担当者が顧客への提案を作成し、AIが過去データから提案内容や最適なタイミングを提示。
・医師が診断を下す際、AIが類似症例や画像診断の分析を行い、見落としを防ぐ。
ポイント: 人の判断を支える「拡張知能」としてのAI活用。
パターン2) AIが主な業務を行い、人がサポート
AIが定型的な業務や大量の処理を担当し、
人間がAIの成果を最終的に確認して品質や信頼性を担保します。
具体例
・AIが自動でカスタマーサポートの回答案を作成し、担当者が内容を確認・修正してから顧客に提供。
・与信審査でAIが融資可否を判断後、担当者が最終的に妥当性を確認する。
ポイント: 業務効率を高めつつ、最終的な「責任ある判断」は人が担保。
パターン3) AIが全ての業務を担い、人がイレギュラー対応を担う
AIが日常業務を完全自動化し、
人間はAIが対応できない特異なケースや問題発生時のみ対応します。
具体例
・完全自動化された物流倉庫において、AI制御のロボットが仕分けや梱包を行い、エラーが発生した場合のみスタッフが対応。
・銀行での完全自動化された不正検知プロセスで、AIが判断困難な事案のみ専門担当者が対応。
ポイント: 日常業務の自動化を進めつつ、人間の介在が必要なケースを明確化。
AI推進者が抑えておきたい4つのポイント
このように、HITLを意識した協働パターンを描くことで、AI導入は“現場の延長”として具体的に捉えられるようになります。
ただし、いざ組織としてAIを推進しようとすると、ツールや仕組みだけではなく、人・体制・文化にも目を向ける必要があります。
ここでは、AI推進における4つの重要なポイントを整理します。
①地味で実用的な業務から着手する
AIを導入するとなると、つい難易度の高いテーマやインパクトの大きい取り組みに目が向きがちです。
ですが、導入初期に大切なのは、派手で革新的なアイディアを狙うのではなく、
むしろ
例えば、Excelでのデータ集計や伝票入力、問い合わせ回答など、
日常的で再現性の高い業務こそ、AIとの相性がよく、成果が出やすい領域です。
まずは、
②手を動かし、有識者に相談する
「AIでどんなことができるかわからない」
「こんなことをしたいけれど、うまく回答精度が高まらない」
このような壁は、AI活用の”2歩目”あたりで多くの企業が直面するポイントです。
AI活用がうまく進んでいる企業の共通点は、
「AIに詳しい人」と「業務に詳しい人」が密接に連携し、
具体的に試行錯誤を重ねている点にあります。
AI活用に詳しい専門家や伴走支援のパートナーの力を借りることで、AI活用の質と幅は大きく拡がります。
③最初から精度にこだわりすぎない
AIを試してみたものの、「精度が低い」と不満を感じることがありますよね。
ですが、導入初期から完璧な精度を求める必要はありません。
重要なのは、最初から高精度を求めることではなく、
「段階的に精度を上げていく」プロセスそのものが、現場のAI活用スキルを向上させます。
実際、最初からうまくいかかったことが、結果的に社内のノウハウ蓄積や活用定着に寄与した、というケースが多くみられます。
④既存データの枠を超える発想を持つ
「データが足りないからAIは難しい」と考える方も多いかもしれません。
ですが、本当に重要なのは、データがないことで諦めるのではなく
ある物流企業では、AI活用による予測精度を高めるために、新しいセンサーを導入しました。
取得データの幅を広げることで、従来は見えなかった要素が可視化され、AI活用の精度と効果を飛躍的に向上させることができました。
まとめ
2025年1月25日に逝去された一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏。
その代表的著書「失敗の本質」では、
日本企業が陥りがちな「3つの過剰(3つのOcer)」が指摘されています。
「Over Planning」計画しすぎる
「Over Analysis」分析しすぎる
「Over Compliance」コンプライアンスにこだわりすぎる
AI推進においても、この「3つのOver」に陥ってしまうケースが少なくありません。
「過剰な計画」を立て、「過剰な分析」をし、「過剰な規制」にとらわれるあまり動き出せない…
そのような状態では、スピードが求められるAI活用の世界では機会を逃してしまいます。
だからこそ、まずは小さくスタートし、
完璧なスタートを求めるのではなく、まずは身近な課題にAIを当てはめてみる。
その経験が、やがて組織全体に
是非、皆さまの会社でも「AI推進の考え方」について
議論してみてください。
本日もGOOD JOB!!
ワークスアイディは、「『働く』をデザインする」をコンセプトに、企業の課題解決をサポートします。
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