こんにちは、ワークスアイディの奥西です。
生成AIを活用する企業が着実に増えています。
ありがたいことに、当社にもAI導入の前段として
[AI勉強会・ワークショップ]のご依頼が増えてきました。
経営層や事業部門・人事部門が中心となり、
一方で、既にAIの試行を始めた企業からは、こんなご相談もよくいただきます。
🗣️「AIの基本的な使い方は学んだが、
業務にどう活かせばいいかわからない 」
🗣️「研修は受けたが、日常業務が忙しく手をつけられない 」
せっかくの強力な道具である『生成AI』が、現場で十分に活かされていない……。
これは非常にもったいない状況です。
企業にとって本当に必要なのは“知識やツールの使い方”だけではありません。
ここにこそ、リスキリングの本質があります。
そこで本日は、リスキリングの重要なポイントである『役割転換』について、
具体例を交えながら考えていきましょう。
DX/AI研修が変革につながらない理由
これまで多くの企業の研修内容をお聞きしてきましたが、
ExcelやRPA、BIといったローコードツールの使い方、そして最近では生成AIツールの操作方法など、
DXの“D(デジタライゼーション)”に寄ったプログラムが主流です。
もちろん、より良いアウトプットや期待する効果を得る上で、
ツールの正しい使い方を学ぶことはとても有益です。
道具や手段を活かして、業務や事業をどのように
変革(“X=トランスフォーメーション)していくのか。
この設計がなければ、研修は成果に結びつきません。
中には、研修の実施自体が『目的化』してしまうケースも見受けられます。
結果、“学んで終わり”で実務や事業戦略に波及しないのです。
ある電気関連企業様で、一部社員向けにPython研修を実施したことがありました。
しかし、その後の実務にPythonを使う場面はほぼなく、受講者からは
「面白かったが、現場の改善にどうつながるのか分からない」という声が。
この経験が示すのは、
知識やツールは『手段』に過ぎません。
社内研修後にありがちな3つの課題
研修“後”に現場で起こりがちな状況を、代表的な3つの視点で整理します。
自社の状態に当てはまっていないか、ぜひ点検してみてくださいね。
(1)研修と実務にGAPがある
- 研修を企画する部門と現場の連携が弱く、
実務と学びの一貫性がない “研修のための研修” になり、現場のKPI・アクションに落ちない- 事業部単位での研修は成果が出やすいが、全社横断で設計不十分だとGAPが大きくなる
(2)スキル習得で止まり、役割に波及しない
- プログラミングやツール操作などリテラシー習得に偏り、
[課題発見][課題定義][役割拡張]の力が育たない - 個々のスキルは向上しても、
組織的な価値創出に結びつかない - “DX人材=プログラミングができる人材”という望ましくない解釈につながる
(3)チャレンジを阻む文化・仕組みがある
- 研修時の熱量は高くても、現場で試す段階になると
失敗許容度が低く挑戦が止まる - 稟議が多段階で意思決定が遅く、トライ&エラーが文化として根づかない
知識は浸透しても、行動変容につながらない
リスキリングの本質は『役割転換』
経済産業省が定義するリスキリングは、単なるスキル習得ではなく
『新しい業務・職務への移行』を意味しています。
つまり、社員が自分の役割を再定義し、従来の仕事の進め方を変革していくことがゴールですね。
役割転換のイメージ例
・営業職:
顧客データを分析し、科学的に戦略を描くデータ駆動型営業 へ
・総務職:
生成AIや自動化ツールを活用し、全社の業務効率化をリードする業務変革推進者 へ
・企画職:
AIによる市場予測やシナリオ分析で、経営意思決定を支える戦略プランナーへ
少し大きな表現かもしれませんが、重要なのは
研修を受けた社員が、『ツールを使える人材』になるだけでは不十分。
『事業を変える人材』として新しい責務を担えるようにする。
そのための設計と支援が必要ですね。
経営層・マネジメントには、
実際、私がAI活用で伴走している企業の経営者は、こう明言されました。
🗣️「この研修はAI人材を増やすためではなく、事業を変えるために役割を変える」
この一言で、社員のモチベーションと研修の意味づけが大きく変わりました。
まとめ
AIを組織で活用し『役割転換』につなげるために、個人と組織に求められる力は次の3つです。
・課題を発見する力
・仮説を立てて実験する力
・役割を再定義する力
リスキリングの本質は、知識の習得ではありません。
皆様の会社でも、ぜひ『リスキリング』をテーマに議論を始めてみてください。
それでは、本日もGOOD JOB!!
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