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AX(AIトランスフォーメーション)推進の3つの土台 – Artificial Intelligence Transformation –

DX 業務改善 AI 仕事 データ活用 IT 人財育成

AX推進3つの土台

こんにちは、ワークスアイディの奥西です。

ここ数年で『DX(デジタルトランスフォーメーション)』は一気に一般化し、
社会や企業のデジタル化を大きく加速させました。
もはやデジタルは生活や仕事の前提ですよね。

そして今、さらに大きな波として、「AI」の民主化に伴い
『AX(AIトランスフォーメーション)』が注目されています。
デジタル化が定着した次のステージは、
AIを本格的に経営と業務に組み込み、企業そのものを変革すること。

本日は、AX推進に欠かせない“3つの土台”について、一緒に考えていきましょう。

DXとAXの違いを正しく理解する

・DX(Digital Transformation)

経済産業省はDXを「データとデジタル技術を活用し、製品・サービスやビジネスモデル、
業務・組織・文化を変革して競争優位を確立すること」と定義しています。
単なるIT導入ではなく、『事業』と『組織』まで含めて変える概念です。

デジタル化とDXの違いについては、過去のコラムでも詳しく解説していますので
基礎理解の再確認にお役立てください。

・AX(AI Transformation)

AXについて公式な定義はまだありませんが、実務では
「AI(機械学習・生成AI)を意思決定と価値創出の軸に据え、アルゴリズムとデータで
事業・ビジネスモデルを再設計する全社変革」を指します。

要するに、AIを経営戦略の中心に置き、
価値創造・ビジネスモデル再設計・サービス創出・顧客体験の刷新まで、
企業全体をアップデートすることです。

〈適用領域の例〉

  • 需要予測、在庫・生産・配送の最適化
  • ダイナミックプライシング、レコメンド/パーソナライズ
  • AIエージェントによる高度な自動化
    (問い合わせ対応、RPA高度化、コード自動生成)
  • 異常検知、画像解析、予防保全 など

以前は高度な専門性が必要で腰が引けがちだった取り組みも、
AIの登場で一気に実現可能性が高まりました。
AIを活用した挑戦が、今こそ現実的に可能な環境になっています。

AX推進の3つの土台

(1)経営のビジョンとAI経営の方針

AXは単なる技術導入ではなく、企業の存在意義や提供価値を“AI前提で”再定義する挑戦です。
経営層が「どの領域でAIを活用し、どう収益化するか」を明確にすることがスタート地点になります。

〈実例〉大手小売業の伴走支援

前提: 需要予測精度の改善を通じて在庫削減率をKPI化
方法:予測に基づく意思決定を実装し、利益率向上を経営目標に組み込み
効果:「何をすべきかが明確になった」と現場・経営双方で合意形成が進み、AIが経営成果に直結

一方、AIの活用には情報漏洩、著作権、プライバシー、法規制などのリスクも伴います。
ガバナンス、利用ポリシー、リスク管理などを経営課題として扱うことが不可欠です。

テクノロジーファーストに陥らず、ビジネス課題解決の手段として
AIを経営戦略に統合していきましょう。

(2)データとAIの一体的な基盤整備

AIの活用には、データが最も重要な資産となります。
部門ごとにシステムが分断され、データがサイロ化していると、AIは力を発揮できません。
AXの前提として、以下を段階的に整備しましょう。

  • 統合データレイクやAIデータ基盤の構築
  • 正確性・鮮度・粒度を担保するDQM(Data Quality Management)
  • 継続的な運用(開発・テスト・本番・監視・再学習)を可能にする
    MLOps[機械学習(ML)×運用(Operations)]や
    RAG(Retrieval Augmented Generation)

構造化データに加え、マニュアル・規程・フローチャート・ナレッジ文書などの非構造化データ、
さらには画像・動画・音声といったマルチモーダルデータも、AIの活用で価値化が可能です。
これまで取得していなかったデータを資産化する設計も、重要な資産になりますね。

まずはスモールスタートで用途を増やし、段階的に拡張していきましょう。

(3)人材と組織の変革

事業は『人』なり。
AXの最終的な成否を分けるのは、やはり人材と組織です。

人材育成によってAIが現場や組織に浸透し、制度の見直しによって全社的なAI活用が加速します。

〈育成が必要な人材〉

  • データサイエンティスト、AIエンジニア、MLOpsエンジニア
  • ビジネス課題をAI要件に翻訳できるトランスレーター
  • 現場でAIを活用し、改善提案ができる社員

〈見直しが必要な制度〉

  • データ活用率やAIアシスタント/AIエージェントの実装数などを評価指標に追加
  • 部門横断チームやAI専任チームを設置するなどの推進体制の整備
  • 社内の成功/失敗ナレッジを共有し、学習する文化を醸成

私が伴走しているお客様は、半年ごとに『AIアイディア発表会』を開催しています。
現場からの提案が実装され、事業に直結する成果が生まれるだけでなく、
実装率も急上昇しました。

結局、道具を使いこなすのは『人』。

アイディアとエンゲージメントがAXの推進力になりますね。
オペレーションからイノベーションへの転換が生まれます。

まとめ

AXを推進するには、以下の3つの土台が重要です。

  • 経営ビジョンとAI経営の方針
  • データとAIの一体的な基盤整備
  • 人材の育成と組織の変革

繰り返しになりますが、テクノロジーファーストではなく、
未来を創る経営資源としてAIを戦略的に活用していきましょう。

ぜひ、社内でも「AXをどう進めるか」議論してみてください。

それでは、本日もGOOD JOB!!

 

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