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生成AI活用の『ROI』はどう測定する? – 投資対効果を可視化する3つの軸 –

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生成AI活用のROIどう測定する?

こんにちは、ワークスアイディの奥西です。

先日、ある企業のデジタル推進部門の方からご相談を受けました。
その内容は「会社の方針として、AI活用にあまり積極的ではない」という焦りです。

私個人の意見としては「AIを使わない理由を挙げる方が難しい」と思っていますが、会社側の見解は「費用対効果(ROI)が分からないものに投資はできない」というものでした。

「今はAIの進化の様子を見てから何をするか決める」
「費用がかかるとなると、効果の説明ができないので判断しない」

担当者の方もかなり頭を悩ませていたため、一緒に作戦会議をすることになりました。

一方で、すでにAIを導入した企業でも「AIを導入したけれど、本当に効果出てるの?」という問いが残っているケースは少なくありません。
IT部門は「導入完了」と報告していても、経営層が知りたいのはその先の価値。…どこか曖昧な空気感、ありますよね。

AI投資を、従来のシステム投資と同じモノサシで測ろうとして失敗するケースを、私も数多く目の当たりにしてきました。

そこで本日は、「生成AI活用のROIはどう測定するのか!?」について整理していきましょう!
正直、測定するまでもないほどの効果はあると断言できますが、経営層へ論理的に説明するためのヒントをお伝えします。

なぜAI投資のROI測定は難しいのか

思い返せば、従来のシステムやCRMの導入効果測定は比較的シンプルでした。
ワークスアイディが取り組んできた『需要予測』や『機械学習』のプロジェクトでも同様です。

従来の効果測定

  • 在庫管理の精度が95%に向上
  • 受注処理時間が30分から5分に短縮

システムが正しく稼働すれば、効果は数値化できます。一方、AI活用は根本的に性質が異なります。

ある企業の管理職研修で、50代の部長がこう話されていました。
「うちの若手はAIをよく使っているみたいだけど、何に使っているのか正直わからない」

実際に若手社員に聞いてみると、彼らは次のような業務でAIを活用していました。

  • 会議前のアジェンダ整理
  • 顧客提案の壁打ち相手
  • 業界トレンドの要約 等

つまり、従来のプロセスでは“目に見えないプロセス”の部分でAIを使っていたのです。
この事例から、AI投資の本質は“システムの稼働率”ではなく“人の働き方の変革”への投資であるということに気づかされました。

AI活用の2つのパターンと測定のコツ

AI活用には、大きく分けて『個人のタスク効率化』と『組織の業務改善』の2パターンがあります。

(1)個人タスクの自動化・効率化

Microsoftの『Copilot』や、Googleの『Gemini』などに代表される使い方です。
メールの返信下書きやOffice製品のサポートなど、個人の日常業務をAIが補助します。

手軽に始められる反面、活用度は個人の習熟度に左右されやすく、『よく使う人』と『ほとんど使わない人』の差が生まれやすいのが特徴です。
結果として、会社全体での効果が見えにくく、ROIの測定が難しくなります。

(2)組織の業務プロセスへのAI活用

特定の業務ユースケースに特化したAIアシスタントを作成し、部署やチームで共有して使うパターンです。
同じ業務プロセスを複数のメンバーが担っている場面に導入することで、個人差に左右されず、組織全体で均一に効果を出せる点が大きな強みです。

ROI測定において重要なのは、この(2)の比重を高めることです。
(1)だけに頼っていると効果が人によってまちまちになり、経営層への説明が困難になりますが、(2)は業務プロセスに組み込まれるため、Before/Afterの数値化がしやすく費用対効果を明確に示せます。

AIの投資対効果を可視化する“3つの測定軸”

こうした経験から、私は『AI活用のROI』を以下の3つの軸で整理しています。

軸1:利用の量と質【アクティブユーザー軸】

「まず使われなければ、効果もゼロ」です。

ある建設会社では、月間アクティブユーザー(MAU)の利用率をKPIに据え、初年度に様々な社内施策を伴走させていただいた結果、社内のAI利用率が40%まで到達しました。

  • まず「誰が、どれくらい使っているか」の可視化を徹底
  • 全社平均だけでなく、部門別・年代別・職種別にMAUを分析
  • よく使われているAIアシスタント/エージェントを見える化

『野良AI』も見受けられましたが、利用が広がるほど想定を超える活用アイディアが自発的に生まれます。
導入前からこのアイディアの効果までは測定できないですよね。

このように、まずは使われていない層の特定と要因分析を行い、“使われる状態”を作ることが“ROI改善の鍵”と言えます。

※『野良AI』については、以前ご紹介していますのでぜひ併せてご覧ください。

軸2:業務インパクト【削減と創出】

次に測るべきは、実際の業務への影響です。

ただし、“なんでもかんでも測定”するのは失敗の元です。
まずは“代表的な業務3つに絞って測定”することを推奨しています。※これはAI導入のPoCの進め方でも同様です。

図面・仕様書の調査時間削減
設計担当者が1件あたり平均6時間かけていた過去図面や技術仕様書の調査が、AIの検索・要約機能で1.5時間に短縮。月30件の調査で135時間/月の削減を実現。
提案資料の質向上と内製化
営業担当者がAIを活用して提案資料を作成。従来は技術部門に依頼していた資料作成を営業側で内製化し、月間60万円のコスト削減に加え、提案までのリードタイムが2週間から3日に短縮。
新人技術者の教育効率化
工場の新人オペレーターの自主学習にAIチャットを活用。「この手順で合っているか先輩に確認しづらい」という心理的ハードルがなくなり、OJT担当者の指導負担が週8時間減少。

ここで重要なのは、導入前のベースライン取得し「なんとなく速い」ではなく『Before/After』を数値で示すこと。加えて、単なる時間削減ではなく「空いた時間で何に取り組むか」という“付加価値業務へのシフト”も重要な観点です。

軸3:組織の変化【質的転換】

AI活用の最大の価値は、実はここにあります。

「以前は、若手が「これ、どう思いますか?」と聞いてくるたびに時間を取られていた。」
「今は彼らがAIで壁打ちしてから相談に来るので、議論のレベルが明らかに上がった。」

このようなお声をたくさんいただきます。
私自身も、本来やるべき“戦略”に集中できるようになったと効果を実感しています。

これは『意思決定の質的向上』や『心理的安全性の向上』といった、数値化が困難なものの極めて重要な変化ですよね。私はこうした定性効果をアンケートやインタビューで測定しています。

また、従業員が「こんな使い方がある!」と自発的に見つけた活用事例を、社内で共有する仕組みを整えることは組織の浸透において重要なポイントです。半年で100件の活用事例が集まると、それ自体が“学習する組織文化”への成長のきっかけになります。

  • 月間アクティブユーザー(MAU)が前月比15%増
  • 営業部の提案資料作成時間が平均40%削減
  • 若手からは「失敗を恐れずチャレンジできるようになった」という声

これらが最大の投資対効果になります。

まとめ

ワークスアイディで伴走支援してきた中で、最も多いうまくいかないパターンは“コスト削減だけで測ろうとする”ことです。

「AI導入で何人削減できるか?」と聞かれることもありますが、実際には人手が充足している会社は少なく、人手不足というのが実態です。削減要素だけにフォーカスするのではなく、とにかく使えば使うほど新しい効果を見出していけます。

  1. MAU
  2. 代表業務3つの時間削減
  3. エンゲージメントなどの定性変化

この3軸を参考に効果を測ることをお勧めします。
そして何より大切なのは“使われる状態”を作ること。
どんなに優れたAIも、使われなければROIはゼロです。

『AI理解』⇒『業務適用』⇒『組織浸透』へとステップアップしていきましょう!
皆さまの会社でも、ぜひ一度『AI活用の効果』について議論してみてください。

それでは、本日もGOOD JOB!!

 

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