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コラム

スクレイピングとクローリングをRPAで自動化 マーケティング業務への活用事例を解説

RPA DX ビジネスデザイン マーケティング

業務効率化の一例として、RPAによるタスクの自動化が挙げられます。DXの推進とも関連性が高く、すでに導入している企業や、導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。例えば、Webサイトからの情報収集を効率化する場合において効果的なのが、スクレイピングやクローリングをRPAと組み合わせて活用する方法です。

今回はマーケティング部門の業務を一例に、どのような課題を解決し、どのような場面で効果を発揮するのか詳しく解説します。

マーケティング部門の主な業務

マーケティング部門が果たすべき最大の目的は、顧客のニーズを分析し、製品やサービス開発に役立てることです。

日本マーケティング協会では、マーケティングのことを「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である」と定義しています。また、経営学者としても有名なピーター・ドラッカーは、「マーケティングの究極の目標は、売り込みを不要にすること」とも表現しています。

優れた技術やノウハウを持ち、これまでにないアイデアを持ち寄って作り出された製品やサービスであっても、顧客ニーズを掘り起こせなければ事業として成立させることはできません。世の中にはどのようなニーズがあるのかを分析したり、新たな需要や市場を創り出したりすることがマーケティング部門に求められる重要な任務といえるでしょう。そして、これらを実現するためには情報収集が不可欠です。

マーケティング業務における課題

マーケティングにおいて顧客ニーズを正確に把握するためには、さまざまな課題があります。具体的にどのような課題が考えられるのか、今回は特に押さえておきたい2つのポイントを解説します。

情報収集にかかるコスト

マーケティング部門の業務において情報収集は不可欠な要素ですが、一口に情報収集といっても、不特定多数に向けた街頭アンケートやインタビュー、官公庁が公開している各種統計データから情報を読み取るなど、さまざまな方法があります。

しかし、これらの方法は時間と手間がかかり、社内のマーケティング部門に在籍する担当者だけでは十分なリサーチが実現できない可能性もあるでしょう。

そこで、時間と手間を節約するための手段として、情報収集を専門に行う調査会社に依頼するという方法もありますが、調査内容や規模によっては莫大なコストがかかってしまいます。

Webリサーチにおけるデータの見落とし

インターネットを利用するユーザーが増えたことによって、従来のアンケートやインタビューといった手間のかかる情報収集ではなく、Webリサーチをベースとした情報収集も可能になりました。例えば、大手ECサイトでの売れ筋商品を分析することで、世の中ではどのような商品が求められているのか傾向をつかむことができます。また、SNSや口コミサイトなどでユーザーの声を直接拾い上げることも可能です。

しかし、例えばECサイトに掲載されている商品名と画像、価格などの情報を、一つひとつ手作業によって収集するのは手間がかかります。さらに、マーケティング部門に所属する限られた担当者が、何日もかけて膨大な情報を収集するというのは現実的ではないほか、手作業では抜け漏れが発生する可能性も考えられるでしょう。

このように、インターネットによって情報収集が効率化されたとはいえ、手作業に頼る部分も多いことからデータの見落としや抜け漏れが発生する可能性はゼロではありません。

RPAでマーケティング業務を効率化

マーケティング部門が情報収集の手段としてインターネットを活用する際には、膨大な作業量を効率化し作業品質を高めるためにもRPAの導入がおすすめです。一口にRPAといってもさまざまなツールや手法が存在しますが、情報収集を効率化するという目的においては、スクレイピングやクローリングに対応したRPAが適しているでしょう。

しかし、スクレイピングやクローリングという言葉を初めて耳にしたという方もいらっしゃるかもしれません。まずはこれらの言葉の意味を紹介するとともに、どのような場面で活用できるのかも含めて解説します。

スクレイピングとは

スクレイピングを日本語に直訳すると「削る」または「こする」ことを意味します。Web上から収集したデータから、必要な一部分を削り取る、または編集することをWebスクレイピングと呼びます。

例えば、「あるECサイトからテレビの売れ筋商品の上位100品目をピックアップし、メーカー名と型番、価格のデータを抽出」する場合、Webサイト上にはこれらの情報以外にも「製造年」や「画面サイズ」「本体サイズ・重量」など、さまざまな情報が含まれています。そこで、スクレイピングによって必要なデータと不要なデータを精査しながら抽出します。

クローリングとは

クローリングとは日本語で「這う」「巡回する」ことを意味します。さまざまなWebサイトを巡回し、必要な情報を取得するためにはクローリングが不可欠な要素といえるでしょう。

例えば、上記で紹介したテレビの売れ筋商品をピックアップする場合、時間の経過とともに売れ筋商品が変わる場合もあります。そこで、クローリングによって常にWebサイトを巡回することで、最新の情報にアップデートできます。

スクレイピングやクローリングを活用するメリット

スクレイピングやクローリングを活用すると、マーケティング部門における業務ではどのようなメリットが得られるのでしょうか。今回は2つのポイントをピックアップして解説します。

業務の定型化

マーケティング業務のなかで顧客ニーズを分析する手法としては、例えば「CTB分析」や「セグメンテーション分析」など、さまざまな方法があります。なかには、組織や部門によって独自のマーケティング手法・ノウハウを確立しているところもあるでしょう。

しかし、あまりにも分析手法が複雑化してしまうと、業務そのものが属人化し限られた担当者しか対応できなくなる可能性もあります。その結果、マーケティング部門で特定の人材が退職したり、他部署へ異動したりしてしまうと、その時点で業務が停滞するリスクも考えられるのです。

スクレイピングやクローリングによって顧客分析を自動化すれば、業務そのものが定型化され、高度なスキルや能力を持っていない担当者でも限りなく少ない人員で対応でき、業務効率化につながります。

業務品質の均一化

リサーチ対象とするWebサイトや情報が担当者ごとに変わると、正確な情報収集ができずマーケティングの精度も変わってしまいます。もちろん、業務マニュアルを整備し手順を統一することは重要ですが、RPAを導入することで業務の定型化や業務効率化も同時に実現できます。

スクレイピングやクローリング機能を活用したRPAを導入すれば、定型化された業務によって担当者が変わっても一定の品質を担保できるほか、退職や異動によって担当者が変更になる場合においても業務の引き継ぎがスムーズに行えます。

業務を細分化することでRPAの応用方法が見えてくる

マーケティング部門の業務は専門的で高度なスキルが求められるため、RPAによる自動化には適さないのではないかと考える方もいるでしょう。しかし、個々の業務を細分化していけば、今回紹介したように自動化できる業務も見えてくるはずです。

また、マーケティング部門以外にも、今回紹介したスクレイピングやクローリングを活用したRPAはさまざまな業務に活用できます。日常業務を振り返り、RPAが応用できそうな作業がないか検討してみてはいかがでしょうか。

参考:

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