導入のポイント
- まず「業務の可視化」に着手。RPA適用診断サービス(RoboRoid-HIT.s)で事前に費用対効果を分析し、RPA導入予定業務に優先順位をつけることでスムーズな導入に成功!
- 「ロボカルテ」を作成し、どういう業務について、どのように動作し、どのような効果があるのか把握!
- 「太子さん」と名前をつけ、“同僚”として業務をスケジューラーに記載することで業務が一目瞭然!
導入に至った経緯
導入を検討しようと思ったきっかけ
導入前に、大きな課題が2点ありました。
1点目は、
2017年の夏ごろにRPAというものを知り、これだと思いました。先ほどの2つの課題をRPAで解決できるのではないかと思ったのです。そこで11月に幕張で開催された第1回 AI・業務自動化展へRPAを見に行きました。
ワークスアイディ社を知ったのも、2017年のAI・業務自動化展です。ちょうどRPAに関するブースが出ていました。
その後、2018年5~6月にRPA適用診断サービスを受け、その結果から効果の高い業務を選び7~8月の間でWinActorによる自動化をお願いし、9月にはWinActorフル機能版ライセンス1本を購入しました。当社では、情報システム部から3名で担当しています。全員女性です。
まずは情報システム部と、業務部の1部門に導入しました。現在は8部門にまで導入が広がっています。
RPAを有効活用するための環境構築
RPA適用診断サービス(HIT.s)
導入検討時点で、RPA導入後の対象業務はすでに5つ決まっていました。
そこでワークスアイディ社のRPA適用診断サービス(HIT.s)を受けて事前に効果を検討。これは導入効果を数値で予測するもので、その結果をもってRPA導入の優先順位を付けました。
ここで対象業務のひとつが、RPAを導入しても費用対効果が望めないとわかり、
他部門の業務をRPA化するときも、まずは業務のヒアリングを行いRPA化が有効かどうかを検証しています。
効果が望めないのでRPA化しない場合もありました。できるだけ効果が高い業務を優先的にRPA化しています。
導入後の運用方法
最初は難しかった
最初にRPAに触ったときの本音は
しかし、当時今ほどメジャーでなかったRPAを情報システム部に導入する以上、失敗はできない。そこでワークスアイディ社に作ってもらったもので動くことを実証していきました。そこから他部門にも導入後のイメージを持ってもらえたと思います。
ワークスアイディのサポート
専門用語を多発したり、説明が十分でなかったりすると、打ち合わせが大きなストレスとなりますが、わかりやすい言葉で説明してくれた点がよかったですね。こちらもSEがそろっているので大概のことはわかるのですが、やはり説明をしっかりしてくれると助かります。
ワークスアイディ社には、必要なシナリオのなかから、あえて難しいもの、さまざまな要素を含むものを作成してもらいました。それは、自分たちのRPAロボットをつくるときに大いに参考になっています。
また、RoboRoidサポートデスクにもたくさん質問してノウハウを吸収しました。
ロボカルテ
RPAロボットに関して
どういう業務についてのロボットで、どのように動作しているのか、どのような効果があるのかをExcelにまとめたものです。
野良ロボットの発生を防ぎ、担当者がいなくてもロボットをスムーズに管理できます。トラブル対応や品質の維持にも便利です。
太子さん
当社のRPA は、新しい労働力としてだんだん人間らしくなり、同僚のような存在になりつつあります。
名前は会社のある太子堂からとって「
太子さんの業務はスケジューラーにも載っていて、何時に何をしているのかが見えるようになっています。スケジュールどおりに動いていなければエラー発生に気づくことができるので、実用的な面でもとても有効です。
導入後の効果
2019年度(2018年9月10日~2019年6月30日)には
導入後の効果には、大きく分けて3点あると考えています。
1点目は、通常RPAの導入効果とされるもの。
2点目は、RPAを導入しやすくするためにイレギュラーな処理を見直し、
3点目は、資料の作成と配布など、毎日定時に行っていた
RPAによる自動化の効果が実感できたことで、社内でのRPAへの需要がさらに高まっています。現在はWinActorフル機能版のライセンスを1本、実行版のライセンスを1本保有していますが、実行版ライセンスの追加も検討しています。
今後の展開
今後の展開には2点ポイントがあります。
1点目は社内での対象部門を拡大していくことです。
導入済みの部門からはさまざまなリクエストやアイデアが出てきています。
できれば未導入の部門からも「こういう業務を自動化したい」というリクエストが来るといいですね。
2点目はRPAとAIの組み合わせ。自動化の範囲を拡張するために取り組んでいる企業様は多いかと思います。
ただ、マークス社としては、AIとRPAは範疇が異なると考えています。RPAは基本我々の「同僚」や「部下」となり作業を行う存在ですが、AIの場合は判断を下し、我々に命令する「上司」「経営者」になりかねません。現時点でAIに対してそこまでの信頼感はありませんね。
特に当社は「かわいい」を仕事にしています。
現段階ではAIには「かわいい」とは何かがわからないでしょうから、まだAIに判断まで任せることは考えていません。
今後の課題
これから課題となるのは、
RPAが停止したときは、情報システム部の対応が必要です。
RPAロボットを管理している人が異動することで野良ロボが発生しないように、現時点ではロボットは情報システム部が作成・管理するものと考えています。ロボカルテの作成も管理の手段のひとつです。
しかし、RPAはあくまで“業務自動化ツール”であり、業務自体は担当部門が責任を持つように意識付けをしています。
そういった責任の所在をはっきりさせていったうえで、ルーチンワークや面倒な仕事をどんどんRPA化して、どの部門も本来の業務に注力していけるようになればよいと思っています。今後もワークスアイディ社さんにはRPAや業務効率化に関する最新情報の提供などをしていただき、手を携えながら社内RPA化を進めていければと思います。
※2020年1月現在
導入後の効果
- 本来業務の時間が増え、生産性が向上
- 業務の標準化ができたことで、属人的な業務の減少
- ルーチンワークをRPAに任せたことで精神的なプレッシャーから解放
【株式会社マークス】
デザインステーショナリー、ライフスタイルプロダクトの企画・製造、国内外での卸売販売事業、国内外直営店での小売販売事業、 EC小売事業や欧州への事業展開サポート事業及びコンサルテーション事業を行うマークス社。
「マークスタイルトーキョー」、「グラフィア、グラフィアプリュス」、「ボン・フェット」、「エディト・トロワ・シス・サンク」などの 5業態19店舗とオンライン・ストアを運営するマークス社がRPAの導入を決断した経緯や導入効果、今後の課題について、同社の取締役執行役員経営管理本部長岡野様、経営管理本部情報システム部マネージャー長井様、管理本部情報システム部チーフ佐藤様にお話を伺いました。