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属人化した経験値を「会社の資産」へ。
デジタル通関の先駆者が見据えるDXの姿

日新運輸株式会社

運送・物流業

日新運輸株式会社

日新運輸株式会社は日本国内の荷主企業をターゲットに、輸出入における国際物流をトータルでサポートする物流会社です。同社は、アパレルや日用雑貨といった日々の生活に欠かせない物資の安定供給を支える社会インフラの一翼を担っています。

2024年にはDX認定を取得するなど、AIを活用した「デジタル通関」の実現に向け、組織全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させています。今回は、取締役の橋本様にneoAI Chat導入の背景と成果についてお話を伺いました。

導入の背景:ナレッジの属人化からの脱却

AI導入プロジェクト開始の背景をお聞かせください

橋本 様(取締役)

弊社はこの20年ほど従業員数がほとんど変わっていないのですが、ありがたいことに取扱件数や売り上げは増えてきている状況のため、限られたリソースの中でいかにITやAIを駆使していくかが重要な取り組みの一つでした。
その中で取り組んだ一つにAI-OCRの導入があります。
通関書類の読み取りを自動化し、定型業務を仕組み化することである程度の効率化は実現できました。

しかし、通関業務における「ナレッジの属人化」という、長年気にかけていた課題には手を付けられていませんでした。

橋本様

通関は法律に基づく専門性の高い業務ですが、そのノウハウはベテランの使い込まれたメモや頭の中にあり、組織全体での共有には至っていなかったのです。貴重な経験値を持った社員が退職する際、そのナレッジが会社に残らず失われてしまうことは、企業にとって大きな損失です。
このナレッジという財産をいかに会社へ還元し、誰もが使える資産にするかが大きなテーマでした。

導入のきっかけ:「まずは試す」という文化

neoAI Chat導入の経緯を教えてください

そんな中、ワークスアイディさんから社内ナレッジの活用に定評のある「neoAI Chat」を紹介されました。説明を聞いた瞬間、直感的に「これはやるべきだ」と感じましたね。私自身はAIの導入に確信を持っていたので、あとはいかに代表へ提案するか、というだけでした。

決め手は、3ヶ月間のPoC(概念実証)が可能だったことです。

弊社にはIT部門があり、自分たちでプログラミングしながら試行錯誤する「トライアンドエラー」の文化が根付いています。緻密な仕様書を作るよりも「まず動くものを試す」というアジャイルな考え方を大切にしているため、PoCで色々試せる環境は非常に魅力的でした。

橋本様

IT部門が中心となって次々と試行を重ねたことで、現場への浸透は早かったですね。
PoCの時点で「単にツールが一つ増えた」という非常にスムーズな感覚で、自然と業務に欠かせないものになっていました。

また、通関部門の責任者をリーダーに据え、3カ月間徹底的に使い込んでもらいました。
検証期間中に彼が「これがないと困る」というレベルまで活用方法を確立してくれたおかげで、現場から自然に「使いたい」という声が上がるようになりました。

そのため、代表へ本契約の承認を得る際も「すでにこれだけの成果があり、現場に浸透している」という事実が最大の裏付けとなり、すんなりと導入が決まりましたね。

具体的な活用事例:50個のAIアシスタントが日常に

現場ではどのようなアシスタントが作成されましたか?

現在、AIアシスタントは50〜60個作成しており、汎用チャットとしての利用も含めると、すでに完全な「日常使い」になっています。
一番使っているのは「HSコード(税番)検索サポート」アシスタントです。

品番検索・特定業務のビフォーアフター

品番検索・特定業務のビフォーアフター

輸出入にあたって、課税率を特定するための世界共通の品目番号があるのですが、同じ洋服でも子供服と大人服、生地の織り方や編み方等々、細かい条件から合致する品番を検索する必要があり、非常に手間がかかっていました。
しかし現在は、このAIアシスタントが過去のデータから近しい実績をリサーチしてくれるようになったので、我々はそれを確認して“判断するだけ”になり、検索時間がかなり削減されました。

プロンプト設定

neoAI Chatでの設定画面

チャット画面

実際のチャット画面

また、「契約書レビュー」アシスタントもよく使っています。
契約書の捺印時に古いドラフトが送られてくるケースがあり、これまで目視でチェックしていました。
担当者は1件当たり5~10分で終わる作業だと気にしていない様子でしたが、年間何百件の積み重ねは見過ごせません。
そこで、AIアシスタントを作ってこの作業を自動化させました。

同じような、「まだ人の手でやってるの?」という業務も一つずつAIに移行させていて、議事録作成やITヘルプデスクなど簡単なものから、APIを活用した基幹システムとの連携まで幅広く展開しています。

その一例がシステムへの自動登録です。

基幹システム登録業務のビフォーアフター

基幹システム登録業務のビフォーアフター

これまでは外部から届くPDFの内容を人間が読み取り、手入力で基幹システムへ登録していましたが、現在はPDFをneoAI Chatに読み取らせ、必要な項目を構造化データとして抽出し、それをそのままAPI連携で基幹システムへと読み込ませています。

導入後の変化とメッセージ

導入後、社内に変化はありましたか?

社内に広く浸透しており、各部署の報告会議でも「AIを使って業務をこのように効率化した」という具体策が日常的に出るようになりました。

また弊社では、AIを導入する土壌作りとして、RPAやExcel活用の成果を月1回表彰する「DX表彰制度」や「ITパスポート取得手当」といった制度を作り、すでに30名以上が合格しています。
今後は更に活性化させるために「AIアシスタント・コンテスト」を開催したいとも思っています。

しかし、AIを日常使いする人もいれば、全く使わない人もいます。ですが、それでいいと思っています。

橋本様

ここ半年ぐらいでAIリテラシーを持った社員をどうやって増やすかがキーワードになっていたのですが、圧倒的な数を増やす必要はなく、少数精鋭が引っ張っていけばいいと思っています。

AIを使うことで自分にメリットがある、便利になる、と知れば人は自然と使い始めます。

小さくても成功事例を作れば使いたい人が増えますし、自分でもAIで実装してみたいというマインドが一人でも多く生まれれば、それが当社のITリテラシーが上がった証拠なのかなと考えています。

AI導入/伴走支援を検討している企業へメッセージをお願いします

橋本 様
検討されているなら、とにかく“まず試す”ことをおすすめします。
主要なLLMが網羅されていますし、自社データを使って試せる環境は言うことなしです。

検討のポイントは、「何か一つ、このために使いたい」という明確なイメージを持ってPoCを始めることです。
その一点のために徹底的に使い込めば、3ヶ月後にはそれが「日常」に変わります。そこで実現できれば成功、使いきれなければ導入しない。
それくらいシンプルに考えていいと思います。

日新運輸
日新運輸

取材協力

日新運輸株式会社
取締役 (兼) 総務部長 橋本昇 様

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