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AIは入れたけど、成果が出ない?“実装フェーズ”に必要な視点とは

DX 業務改善 AI 仕事 ビジネスデザイン 生産性向上

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こんにちは。ワークスアイディの奥西です。

「生成AIを導入したのに、期待していたほどの成果が出ていない」
そんな声をよく聞くようになりました。

実際に、AIの導入自体は進んでいるものの、「業務への定着」や「実際の成果」までたどり着けている企業はまだ多くありません。

本コラムでは、最新のAI Index Report 2025をもとに、AI導入が“実装フェーズ”へと進んだ今、企業に求められている視点や取り組みを整理します。

「とりあえずPoCは終わったけど、次に何をすればいいのか分からない」
「社内にうまく浸透していない」
そんな課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

※以下、AI Index Report 2025を「同レポート」と省略させていただきます。

AI Index Report 2025とは

スタンフォード大学の人間中心AI研究所(HAI)が毎年発表。
AIの技術的進歩、経済的影響、社会的インパクトを包括的に分析した報告書です。

AI Index Report 2025レポートの原文は以下のサイトからご覧ください。
https://hai.stanford.edu/ai-index/2025-ai-index-report

米国企業の戦略的AI投資の実態

まず注目すべきは、米国企業のAI投資の圧倒的規模です。
同レポートによると、2024年における米国企業の民間AI投資額は史上最高の1,091億ドル(約15兆円)に達しました。これは、中国企業の約9倍、英国企業の約24倍に相当します。

この数字からも、米国企業がAIを戦略的資産と捉え、積極的に投資を行っている姿勢がうかがえます。

中でも、生成AIへの投資は前年比18.7%増の339億ドルにまで拡大。
AIを「単なる業務効率化のツール」にとどめず、「未来の競争優位性を確保するインフラ」として位置付けていることを明確に示しています。

日本国内でのAI関連のニュースを見ていても、想像もつかない規模の額を投資し、大規模なプロジェクトの発表が行われていますよね。
今では業界問わず、予測系AIや画像系AI、そして生成AIの活用は「メール」や「チャット」のように日常業務の一部に組み込まれています。
インターネットが始まった時代以上に、今のAI時代は社会に強烈なインパクトをもたらそうとしています。

AI導入の「実験」から「実装」への急速なシフト

AI導入は今、大きな転換期を迎えています。
同レポートによれば、AIを業務に活用している企業の割合は、2023年の55%から2024年には78%へと急増しました。企業の姿勢が「検討」段階から、「活用して成果を出す」段階へとシフトしていることがわかります。

つまり、AIは単なる実験段階を超え、具体的な成果を上げる「実装フェーズ」に突入したことを意味しています。

中でも生成AIの導入領域は以下の職種で急速に拡大しており、業務プロセスそのものが再構成され始めています。

  • マーケティング
  • バックオフィス
  • カスタマーサービス
  • ソフトウェア開発分野

実際に、米国のSaaS企業では、顧客向けコンテンツや顧客支援ツールの自動生成を生成AIで行い、業務効率を約30%以上改善したという事例も報告されています。

この流れは日本企業にも波及しており、大手自動車企業や通信企業、メーカーなどが顧客サービスや製品開発における生成AIの実装に取り組んでいますよね。
また、金融機関や保険会社からも、カスタマーサポート業務や代理店業務などでAIを活用し顧客からの問い合わせ対応を「自動化」したいという相談も増加しています。

AI導入はもはや「実験」段階にとどまりません。
多くの企業が、日々の業務にAIを溶け込ませながら、確かな成果を求めて「実装」し始めているのです。

AIが解決する「人材不足」という課題

人材不足は企業規模を問わず、日本企業全体が直面している課題です。
採用コストの上昇や、雇用の流動化による人材の定着率低下など、人手を確保する難しさは年々増しています。

こうした中で、AIは人材不足問題の解決にも直結する存在として注目されています。

同レポートでも、AIの導入が生産性を高めるだけでなく、従業員間のスキルギャップの解消や属人化の打破に効果を発揮している事例が紹介されています。

例えば、米国の大手銀行ではAIを用いて、カスタマーサービス業務の標準的な問い合わせ対応を自動化しました。これにより、経験や知識が浅いスタッフでも迅速かつ的確な対応が可能になり、顧客満足度を向上させることに成功しました。

カスタマーサポート

最近のワークスアイディの事例でも以下の様な事例がありました。

とある製造業では、ベテラン技術者の経験に基づいた生産計画や品質管理が属人化しており、後継者不足に直面していました。

そこで、AIを活用した生産計画の最適化や画像解析モデルを導入することで、経験の浅い従業員でも熟練者と同等の精度で業務を遂行できるようになりました。

また、最近では飲食店や接客業で「音声AI」の活用も増えています。
人手不足の現場において接客の質を維持する新たな手段として注目を集めています。

こうした事例が示しているのは、AIは労働力を奪うものではなく、補完するパートナーであるということ。特に、熟練者の暗黙知やノウハウが属人化している職場において、AIは次世代への「技術継承」の橋渡し役としても期待されています。

「導入=成功」ではない、活用の質が問われる段階

AIを導入した企業すべてが、同じような成果を得られているわけではありません。
その差を生み出しているのは、AIそのものの能力ではなく、それを活用する組織の文化や人材、そして戦略です。同レポートでも、AI導入企業の多くが「実際のコスト削減や収益向上の効果は限定的」との課題も指摘しています。

AIを導入しただけで成果がでるわけではなく、具体的な「実装戦略」と「人材育成」の重要性が強調されています。

実際のワークスアイディの事例の中でも、AIを導入したものの、企業文化、従業員のスキル、マインドセットの課題から、業務プロセスにAIを適用させることができず、期待された成果に至らなかったケースもありました。

一方で、AIの導入と並行して研修プログラムやプロセス改革を行い、現場がAIの判断を受け入れやすい環境に変わった企業では、顧客満足度や売上の明確な向上が見られました。

このように、AI活用の成否は「技術」ではなく、「受け入れる側の成熟度」にかかっているのです。

今企業に問われているのは、AIを「どの業務に、どのように適用し、どのような成果を出すのか」という実装シナリオの明確化とそれを推進できる組織文化・人材の整備です。

AI活用の本質は、テクノロジーの導入ではなく、それを活かす人と仕組みをどう変えていくかにあります。
これが、成功する企業とそうでない企業の決定的な違いです。

まとめ

AIの導入で成果を出すためには、効率化や収益向上という短期的な視点も重要ですが、企業文化や人材育成、リーダーシップ、マインドセットを含む「戦略的AI投資」が重要な視点です。

また、導入初期のPoC検証で満足するのではなく、現場の変化に応じて実装シナリオを継続的にアップデートしていくことが大切です。

AIを労働力の代替としてとらえるとハレーションが起きるケースもありますが、むしろ、従業員の経験やスキルを補完する「仲間」として活用することで現場との共創が生まれ、成果が定着する可能性が高まります。

最も重要なのは、「AIを使うこと」そのものではなく、AIをきっかけに組織の在り方を変えていく姿勢です。

是非、皆さまの会社でもAIの「導入」から「浸透」について議論してみてください。

プロジェクトの課題やAI活用の相談を「AI相談会」で受け付けております。
是非、業務への「適応」と組織への「浸透」についてご相談ください。

それでは本日もGOOD JOB!!

ワークスアイディは、「『働く』をデザインする」をコンセプトに、企業の課題解決をサポートします。

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