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コラム

リモートワークの新しい形!? メタバースの活用方法

DX ビジネスデザイン テレワーク

リモートワーク(テレワーク)は特別な働き方ではなく、一般的な働き方として徐々に定着しつつあります。しかし、リモートワークだからこそ見えてきた課題や問題点があることも事実であり、現在まさに試行錯誤している企業も多いことでしょう。
そんななか、リモートワークの課題を解決するために「メタバース」というキーワードが注目されています。今回の記事では、そもそもメタバースとは何なのか、メタバースによってどのような課題が解決できるのかを詳しく解説していきます。

リモートワークの浸透によって見えてきた課題

場所にとらわれることなく自由な働き方が実現できるリモートワークですが、さまざまな課題も浮き彫りになってきました。具体的にどのような点が課題として挙げられるのか、特に重要な2つのポイントを紹介しましょう。

コミュニケーションの不足

従来の対面によるコミュニケーションでは、相手が話す内容はもちろんのこと、表情や声のトーン、細かな仕草といったノンバーバル(非言語)なコミュニケーションも重要な要素でした。例えば、言葉では「分かりました」と言っていても、腑に落ちない表情をしている場合、相手に対して本当に理解できているか適切なフォローをするべきです。

しかし、オンライン会議システムの場合、スマートフォンやタブレット、PCの画面のなかに複数の人物の顔が映るため、一人ひとりの細かな表情や仕草が十分に伝わらないこともあります。また、物理的に自分の周囲に同僚や部下、上司がいないことで、疎外感や孤独感を覚える社員も少なくありません。

結果として、リモートワークの環境下ではコミュニケーション不足に陥ることも多く、業務の遂行に支障をきたすケースもあるのです。

プライバシーへの配慮

オンライン会議システムでは背景に自室が映り込んでしまうことも多く、プライバシーの確保が重要な課題となります。例えば、ワンルームで一人暮らしをしている場合、オンラインでの打ち合わせの際にベッドや衣類、趣味のものなど映したくないものまで背景に入り、プライベートが覗き見されているような気分になる人もいるでしょう。

また、そもそもオンライン会議システムでは自分の顔を映し出したくないというユーザーも存在します。しかし、音声のみの参加となると、相手の表情や仕草が一切確認できなくなってしまい、コミュニケーション不足に陥ることも懸念されます。

リモートワークの課題解決のカギを握るメタバース

リモートワークの課題として挙げられるコミュニケーション不足やプライバシーへの配慮など、リモートワークの課題を解決するために、注目されているのがメタバースと呼ばれるものです。そもそもメタバースとは何か、注目されるようになった背景や理由についても詳しく解説しましょう。

メタバースとは

メタバースの「メタ(Meta)」とは、日本語で「変化・超越」という意味を指し、「宇宙空間」を指す「ユニバース(Universe)」と掛け合わせて作られた造語です。すなわち、宇宙空間のように時空を超越するという意味であることから、メタバースを一言で表すと「仮想空間」という意味合いをもちます。

現在、私たちが日常的に利用しているインターネットも広い意味では仮想空間といえるでしょう。しかし、メタバースはVRやARといったXR(エクステンデッド・リアリティ)技術を駆使して作られた、今よりも先進的な仮想空間という意味で用いられるのが一般的です。

メタバースは近年になって登場した概念ではなく、これまでゲームの世界などにおいて存在していました。ユーザー一人ひとりの存在をアバターとして作り上げ、アバターを通して人間同士が交流したりゲームの対戦をしたりするのがこれまでのメタバースの概念です。二次元のキャラクターとして扱っていたアバターも、テクノロジーの進歩によってリアルな存在となり、VRやARが登場したことで一躍脚光を浴びるようになったのです。

メタバースが注目される背景

2021年10月、フェイスブックが社名を「Meta」へ変更したことも一因となり、メタバースは大きく注目を浴びることとなりました。

しかし、それ以上にメタバースという言葉が登場し注目されるようになった背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大とXR技術の進歩が挙げられます。新型コロナウイルス感染症によって人との接触が避けられるようになり、人々の行動がリアル(現実空間)からオンラインへと移行しました。リモートワークによって対面での打ち合わせが減り、オンライン会議システムやコミュニケーションツールへ移行したことは典型的な事例といえるでしょう。

そのようななかで、リアルからオンラインへの移行を実現するためのツールとしてメタバースの有効性が注目されるようになったのです。

また、VRやARといった技術が進歩したことで、より多くのユーザーが仮想空間を手軽に体験できるようになりました。かつてインターネット上における交流やコミュニケーションはあくまでも仮想空間のものであり、現実世界と明確な境界線が存在していました。しかし、VRやARが今後さらに発展していくことで、従来のような明確な境界線は薄れ、リアルと仮想空間が融合する社会が到来するのではないかと期待されています。

メタバースによって実現される「バーチャルオフィス」

メタバースは、ゲームをはじめとしたエンターテインメント分野はもちろん、ビジネスの分野でも注目されています。なかでも典型的な例として挙げられるのが、メタバースによって実現されるバーチャルオフィスです。

バーチャルオフィスとは

バーチャルオフィスとは、自分自身の代わりにアバターと呼ばれるキャラクターを作り出し、アバターを通してコミュニケーションをとるオフィスのことです。

仮想のオフィス空間には同僚や上司など複数のアバターが存在しており、アバターに話しかけることで実際にオフィスにいるかのようにコミュニケーションがとれます。さらに、打ち合わせの際にはVRヘッドセットを装着することで、臨場感溢れるバーチャルオフィスを体験することもできます。

バーチャルオフィスによって何が変わる?

リモートワークで会議をする場合、オンライン会議システムなどを活用するケースが一般的です。しかし、バーチャルオフィスであれば自宅の中を映したくないといったプライバシーに配慮でき、社員は安心して会議に参加できます。

また、バーチャルオフィスでの会議は従来の対面型の会議と同様に臨場感に溢れ、オンラインでありながらも実際にその場にいるような感覚が体験できます。アバターの様子や表情を細かく確認できることから、オンライン会議システムの課題であったコミュニケーションのロスを防ぐことも可能になるでしょう。さらに、会議への参加者を親しみやすいキャラクターのアバターとして表示することにより、リアルの会議よりも声が掛けやすくなり議論が活発になることも期待できます。

メタバースによって進化し続ける働き方

リモートワークは場所にとらわれない働き方を実現できる一方で、コミュニケーション量の低下や社員のプライバシー確保といった新たな課題も浮き彫りになってきました。

これらを解決するために、メタバースと呼ばれる仮想空間上でのバーチャルオフィスで働く方法が今後注目されるようになります。これまではゲームなどエンターテインメント業界で注目されていたアバターですが、ARやVRといった新たなテクノロジーと融合することによりリアルに近いコミュニケーションがとれるようになり、ビジネスにおいて大きなメリットが期待できるでしょう。

参考: