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コラム

デジタル時代に求められるCDOの役割とは何か?求められるスキルや資質も解説

DX ビジネスデザイン

IT関連の技術革新は目覚ましく、今後到来するデジタル時代に対応すべく多くの企業ではDXが推進されています。しかし、DXは経営層も含めて全社的に取り組む必要があり、経営における重要な意思決定が求められることも少なくありません。とりわけデータの利活用は不可欠であり、ビジネスモデルの変革や業務プロセス改革、さらには新たな経営資源を生み出すためにCDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)という役職が注目されています。

本記事では、CDOとはどのような役割を果たすのか、求められるスキルや資質についても解説します。DXの推進に向けて取り組みを継続している企業はもちろん、今後本格的に取り組んでいこうと考えている経営者は、ぜひ参考にしてみてください。

デジタル時代に不可欠なデータを活用した意思決定

デジタル技術の発展に伴い、AIをビジネスに活用する動きが活発化しており、大きなトレンドとなっています。AIを有効に活用していくうえでは、ビッグデータは不可欠な存在です。また、AIに限らず社内で利用するあらゆるシステムを構築するうえで、データの活用は欠かせないものです。

一般的にビッグデータやAIに関連した業務はAIエンジニアやデータサイエンティストなどが担うのが通常ですが、企業としてデジタル技術をどう活かしていくか、最終的な意思決定は経営層に委ねられます。

しかし、そもそも経営層にデジタル分野の知識がないと、意思決定の遅れや、適切な意思決定に結びつかないことも考えられるのです。例えば、ビッグデータやAIの代表的な活用事例として挙げられるのがマーケティングの分野です。過去の売上データや気候条件、周辺エリアでのイベントの有無など、売上予測を左右する要素はさまざまなものがあります。しかし、経営層のなかにシステムの基本的な仕組みやプロセスを理解している人材がいないと、いかに価値のあるシステムであるかが分からず、結局導入に至らないことも考えられるでしょう。

そこで、デジタル技術の高度な知見を有し、経営戦略を構築する最高責任者としてCDOが注目されているのです。

CDOの役割とは

CDOの主な役割を一言で表すとすれば、「企業のデジタル化を主導すること」です。もう少し具体的かつ分かりやすく説明すると、以下のような項目に分けられます。

DXの推進

DXはデジタル技術を活用して業務効率化を実現するだけではなく、経営の仕組みやビジネスモデルを根底から見直し、刷新することが本質といえます。そのためには経営課題をピックアップし、デジタル技術をどう活用し解決に導くのかを経営層としてCDOが判断する必要があります。

DXは企業のなかの一部門や担当者だけが取り組めばよいというものではなく、全社一丸となって取り組むことが求められます。そのためには、強力なリーダーシップを発揮できるDXの旗振り役が不可欠であり、それこそがCDOが果たすべき役割といえるでしょう。

データの利活用に向けた基盤整備

DXの推進に向けて、AIやビッグデータといったキーワードがたびたび登場します。しかし、これらは一般的なシステム開発とは異なり、極めて大量のデータを収集し適切に管理できる基盤が整備されていることが大前提となります。

例えば、売上予測を立てる際、人の経験や勘に頼るのではなく、データを活用することで初めて精度の高い予測が実現されます。集まるデータの数が多ければ多いほど、予測精度は高まっていくともいえるでしょう。

CDOは、社内のあらゆる部署や担当者がさまざまなデータにアクセスでき、業務に活用できる環境や基盤を整備するための主導役としても重要な役割を果たすのです。

CDOに求められるスキル・資質

CDOはSEやプログラマーのようなエンジニアとしての立場ではなく、経営に直接的に携わる役職です。そのため、技術的な知見はもちろんですが、それ以外にもさまざまなスキルや資質が求められます。そのなかでも特に重要なスキルや資質を2つ紹介しましょう。

リーダーシップ

CDOにはAIやビッグデータといった分野について一定の技術的な知見が求められますが、自身が手を動かして作業をする立場ではなく、あくまでもリーダーという立場から組織を統率する役割を担います。そのため、極めて高い技術的なスキルというよりも、メンバーをまとめあげるリーダーシップがより重要視されます。

DXは社内の一部門だけではなく、あらゆる部署や担当者を巻き込んで取り組む必要があると紹介しましたが、CDOにリーダーシップがなければ社内での取り組みが中途半端に終わってしまい、DXは道半ばで頓挫してしまう可能性もあるでしょう。

「なぜ今、DXに取り組む必要があるのか」「これまでのビジネスモデル、業務フローで問題なかったのに、なぜデジタル技術による変革が必要なのか」という根本的なことを全社員に理解させる必要があります。これは課長や部長など、一部門の管理職レベルでは到底難しいことであり、経営層であるCDOがいなければ実現できないことです。

そのため、CDOに適した人材を選定するにあたっては、単に技術的な知見があるからといった理由で選ぶのではなく、強力なリーダーシップを発揮できる人材の方が適しているとも考えられます。

関係構築力

全社的な取り組みが求められるDXにおいては、多くの社員を引っ張っていけるリーダーシップや統率力だけではなく、関係構築力も求められます。

例えば、業務フローや業務プロセスの改革、および新たなビジネスモデルへの変革は重要とはいえ、当分の間はこれまでの通常業務も同時並行で進めなくてはなりません。実務部門のなかには「通常業務で手一杯」「業務プロセス改革に取り組む余裕はない」と考えるマネージャーや担当者も存在します。しかし、「DXの推進も通常業務と同じくらい極めて重要な業務である」ということを理解させ、協力を得ることが欠かせません。

そのためには、社内のあらゆる部署や担当者を巻き込み、さまざまな調整を行う必要もあるでしょう。縦割り意識の強い組織では横断的な連携に難色を示すケースも多いため、CDOはそのようなマネージャーや担当者を説得し、良好な関係を構築しつつ着実にDXを推進していく力が求められます。

世界に比べ日本企業のCDO設置率は低い

日本ではCEOやCOO、CTOなど、チーフオフィサーと呼ばれる役職がすでに一般的となっています。しかし、CDOという役職があること自体、今回初めて耳にしたという方も少なくないはずです。

総務省が2018年に調査した結果によると、日本国内でCDOを設置している企業はおよそ5%に過ぎません。アメリカでは16.8%、イギリスに至っては27.4%の企業がCDOを設置しており、これらの国々と比較すると日本のCDO設置率は極端に少ないことが分かります。

しかし、確実にDXの波は到来しており、データの利活用を推進するうえでCDOの役割が今後大きくなることは確実と考えられるのです。CDOを設置しない企業では、社長や副社長、CTOなどがこの役割を担うこともあるでしょう。しかし、明確にCDOを設置することで「会社として全力でDXに取り組む」という本気度を社員に対して伝えることにもつながります。また、CDOの役職を担う人材に対して自覚を与えることで、企業におけるDXがさらに加速していくとも期待されるのです。

参考:

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