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コラム

トラベルテックとは?注目されている背景にあるものと活用事例も紹介

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新型コロナウイルスの影響によって、特に大きな打撃を受けているのが観光・旅行産業です。2020年7月22日から開始された「Go Toトラベルキャンペーン」はその活性化を狙ったものですが、コロナ感染拡大が続いているなかでの実施や、対象から東京を除外したことによる需要押し上げ額の大幅減など、問題は山積みです。
そのような状況だからこそ、トラベルテックのような新たなサービスやテクノロジーで、アフターコロナを見据えた長期的な目線を持って対策を練らなければなりません。

そもそもトラベルテックとは何なのか、どのような理由があって注目されているのかについても詳しく解説していきます。

トラベルテックとは

トラベルテックとは「トラベル(旅行)」と「テクノロジー」を融合させた言葉です。最新のテクノロジーを活用し、ホテルの予約や交通機関の予約などをオンラインで可能にするシステムはもちろん、旅行におけるさまざまな決済も円滑化する試みを指します。また、予約や決済以外にも観光地案内にテクノロジーを活用する事例も増えており、旅行に関連することを効率化するシステムやITツール全般をトラベルテックと呼ぶこともあります。

ちなみに、トラベルテックは旅行や観光産業に特化した領域のものですが、これ以外にも金融のFinTech、医療ではMedTechといったように、さまざまな業種においてテクノロジーの活用は進んでいます。そして、これらを総称したものは「X-Tech(クロステック)」と呼ばれ、今後さらに活用が進むと期待される分野です。

トラベルテックが注目されている背景

政府が2020年7月22日から開始し話題になっている「Go Toトラベルキャンペーン」。東京除外などの問題はあるとしても、そもそもこれは新型コロナウイルスで落ち込んだ国内旅行の需要を再び喚起させるための施策であり、これを機にトラベルテックがさらに注目されると考えられています。

コロナ禍においても、人との接触を大幅に減らすためにはキャッシュレス決済や非対面でのコミュニケーションが重要です。これを実現するためには、さまざまなテクノロジーの活用が不可欠であり、それらのツールはトラベルテックにもつながっていきます。

また、東京五輪に見込まれる外国人観光客向けに、宿泊予約システムの新サービス導入や電車内の表示が多言語化されたことなども、記憶に新しいのではないでしょうか。

東京五輪が2021年に延期されたことによって、観光地や宿泊施設においてIT環境の整備にかけられる時間の猶予もできました。IT導入補助金のような制度を活用すれば、資金力に余裕のない企業であってもトラベルテックの導入が現実的なものとなるでしょう。

昨今では、新型コロナウイルスの影響によって海外からの観光客は減少し、観光産業にとって極めて厳しい状況が続いています。しかしその一方で、今後感染者数の増加が収まれば国内観光客の需要が一気に高まることも予想されます。

さらに、世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いた頃には、その反動でこれまでにないレベルでインバウンド需要が伸びることも期待できるかもしれません。

トラベルテックの導入事例

ITを活用することで観光産業の業務効率化や集客アップにつなげられるトラベルテックですが、具体的にどのような導入事例があるのでしょうか。今回はトラベルテックを導入する際のヒントになる3つの事例を中心に紹介します。

TOHOKU MaaS

JR東日本と宮城県、仙台市は合同で「TOHOKU MaaS」というトラベルテックを検討しており、2020年2月には対象地域で実証実験も実施されました。

「TOHOKU MaaS」とは、スマートフォンでの切符購入、レンタカー予約、クーポン、デジタルチケットなど、観光の際に利用することの多い便利な機能を集約したもの。実証実験では、JR東日本、地下鉄、バスなど仙台を中心としたフリーエリア内の交通機関が2日間乗り放題となる「仙台まるごとパス」を提供し、松島や八木山動物公園などの観光地にも手軽にアクセスできる環境を構築しました。

MaaS(Mobility as a Service)とは、目的地に到着するまでの各種交通機関を利用者が個別に組み合わせるのではなく、ICTによってすべての移動手段をひとつのプラットフォームで検索・利用できるようにする概念です。ここには従来のような公共交通機関ではなく、最近登場したライドシェアのようなサービスも含まれます。

「TOHOKU MaaS」の場合は交通機関だけではなく、仙台中心地にある繁華街、国分町の飲食店38店舗で利用できる決済機能も提供。初めて仙台を訪れる人であっても、個別に電話やネット予約に手間取る心配もなく、ひとつのプラットフォーム上で完結できる仕組みを実現しています。

今後は2020年度中に第二弾の実証実験も予定されており、交通インフラを担う企業と自治体がタッグを組んだ大規模なトラベルテックとして注目されています。

Payke

「Payke」とは、ショッピング施設において日本語が読めない外国人観光客向けに、商品のバーコードを読み込むと多言語に翻訳してくれるスマートフォンアプリです。日本には世界各国からさまざまな人が観光に訪れており、英語や中国語など多岐にわたる言語でのコミュニケーションが必要とされます。

外国人観光客にとって、日本語で書かれたパッケージは何の商品なのかが分からず、担当者とコミュニケーションが取れないと購入を諦めてしまうことも多いもの。しかし、「Payke」を活用すれば外国語が苦手な担当者であっても最低限のコミュニケーションが可能になり、販売機会を逃す心配もありません。

店頭に専用のタブレット端末を設置しておけば、都度スマートフォンを取り出してアプリを起動する手間もなくなるため便利です。また、「Payke」は商品の販売機会を逃さないメリット以外にも、ドラッグストアでは誤った商品を販売して健康被害を与えるリスクも軽減できます。

Suica

普段私たちが利用している「Suica」は、もっとも身近なトラベルテックの事例といえます。日本発の非接触ICカード技術である「FeliCa」はSuica以外にもさまざまな場面で活用されるようになり、新幹線の切符はもちろん、キャッシュレス決済の手段としても活躍しています。

「Suica」の最大のメリットは、QRコード決済のように個別のアプリを立ち上げる手間がなく、タッチをした瞬間にスピーディーな認識を可能にしている点です。「Suica」のICカードやスマートフォンをかざすだけで決済が完了するため、極めて使い勝手が良いです。

また、「Suica」をはじめとした交通系ICカードは、定期券の機能を有しているほか、万が一乗り越した場合でもチャージ残高があれば自動的に精算してくれるため、駅や観光地などにおける混雑解消にも役立っています。

「Suica」はトラベルテックという言葉が登場するはるか以前の2001年から導入されており、日本においてもっとも成功を収めたトラベルテックの事例といえるでしょう。

成長が期待されるトラベルテック

新型コロナウイルスの感染拡大によって、国内外ともに旅行・観光産業は大きな打撃を受けました。長期的な目線で考えた場合は、今回紹介してきたトラベルテックの活用が事業の成長を支える大きなカギとなると期待されているのです。

トラベルテックのような先端サービスを導入する際には、まず現在行っている業務を把握し「可視化」することが求められます。本来は大きな力を発揮しビジネスを変えるようなソリューションであっても、適切でない方法で導入するとかえって効率を阻害してしまうようなこともあるからです。ワークスアイディでは「視える化」によって業務を強力にサポートする「RoboRoid-HIT.s log」を提供しています。どの部分を自動化できて、反対にどの部分が人間でなければ難しいのかを見極めるためにも、ぜひご参照ください。

※当記事は2020年7月現在の情報を元に執筆しております。

参考:

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