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コラム

財務会計と管理会計の違いとは?どのような考え方で行われる?

RPA ビジネスデザイン

会社を経営していくうえで重要な財務会計と管理会計。ともに似た言葉ではありますが、両者は目的も用途もまったく異なるものです。そこで今回は、財務会計と管理会計との違いは何なのか、どのような目的を持っているのかについて詳しく解説していきます。

また、働き方改革が進みAIやRPAといったITツールの活用が多くの企業で検討されていますが、財務会計や管理会計にこれらを導入する際のポイントもあわせてご紹介します。財務会計と管理会計の特徴を鑑みたうえで、AIとRPAの特性を活かした具体的な活用方法は必見です。ぜひ最後まで読んでいただき、会計資料作成や事業運営の参考にしてみてください。

財務会計と管理会計の違い

まずは財務会計と管理会計の違いについて詳しく紹介していきましょう。財務会計とはひと言で表すと、外部向けに公表する情報資料です。これに対して管理会計とは、企業内部の情報資料として作成されるものを指します。それぞれの意味についてもう少し詳しく見ていきましょう。

財務会計とは

決算発表や株主総会など、企業の情報を公開する場面は多いものです。企業が持つ資産や売り上げ、損失などを記載した決算書をベースにしたのが財務会計と呼ばれるものです。財務会計はあらかじめ決められている財務諸表のフォーマットに沿って記載しなければなりませんが、これは会社法や商法といった法律によって定められています。

ちなみに、法律で決められた財務会計のほかにも、海外投資家向けに財務会計を公表している企業も多いです。

管理会計とは

管理会計は社内で利用されることを前提としているため、財務会計のように法的なルールが定められているものではありません。管理会計の一例として原価計算やキャッシュフロー分析、予実管理などがあります。社内利用を目的とした管理会計は法的なルールが定められていないとはいえ、企業規模が大きくなればなるほど経営陣の意思決定や財務状況の把握をするための重要な要素となります。

財務会計の目的

財務会計は法律に則って作成されるものですが、そもそもどのような目的があるのでしょうか。いくつかのポイントに分けて考えることができますが、今回は以下の2点に絞って財務会計の目的を見ていきましょう。

株主や企業などとの利害調整

仮に財務会計のルールが定められていない場合、企業の財務状況は外部から一切分からず、ブラックボックス化してしまいます。自社の財務状況が分かるのは経営者のみとなってしまい、それによって会社を私物化し株主の利益を損なう可能性も考えられるでしょう。このような事態になることを防ぐため、企業の経営が健全であるかどうかを株主が客観的に確認する意味で財務会計は重要な役割を果たします。

ちなみに、財務会計の役割としては株主だけではなく、社債の購入者や金融機関などの債権者との調整機能もあります。株主や経営陣の利益のために過剰な株式配当を行ってしまうと、債権者の権利が侵害されてしまいます。そのような意味でも、適正な配当可能限度額が確定されているかを確認する役割もあります。

外部の投資家への情報提供

財務会計の目的の2つ目に挙げられるのが、外部投資家への情報提供機能です。これから投資を検討している外部の人間が、企業の経営状態を把握し投資の判断材料とするために、財務会計の情報が活用されます。

1つ目の目的として挙げた利害調整機能は、すでに株式や債権を保有しているステークホルダーに対して情報提供されることを前提としていますが、新たに株式を取得しようとする人々に対しても財務会計情報は重要です。

管理会計の目的

大規模な企業になればなるほど、事業規模の拡大に伴って会計処理は複雑化し、経営者が自社の財務状況を詳細に把握することが難しくなります。経営の意思決定をするうえでは事業計画の策定が必要不可欠ですが、現在の財務状況が分からないと今後どのような戦略を立てていけばよいのかが判断できません。そこで管理会計によって自社の状況を把握し、今後の事業計画に活かす必要があります。

管理会計は企業の意思決定や事業戦略に関わる情報でもあります。そのため、財務会計よりも細分化した部署別・事業セグメント別の会計情報が必要とされることも少なくありません。多くの情報を簡潔に分かりやすく記載し、経営者の意思決定に役立つ情報を集約できるかが大きな鍵となります。

財務会計や管理会計におけるAI・RPAの活用

財務会計や管理会計の資料は、経理や財務を担当する部署が人の手によって作成しているケースが多く、RPAやAIを活用することで業務効率化が図れると期待されています。RPAとAIにはそれぞれ特性があり、得意とする業務内容も変わります。財務会計にはRPAが、管理会計にはAIが活用できる場面が多いのですが、なぜそのような特性があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

財務会計へのRPA活用

財務会計情報は決算内容が中心となり、いわば事業活動の結果や事実を記載した資料と言えます。売り上げや利益、損失の額などを詳細に記した資料であり、事実だけを正確に記載する必要があります。そのため、人間の手作業による業務よりも、RPAを活用して資料を作成した方が正確で効率的となる可能性が高いでしょう。

RPAが得意とするのは、明確なルールが定められていて定量的な業務です。企業規模や事業規模が大きくなればなるほど、多様な会計処理が発生するものです。RPAに一定のルールを与えることで、複雑で大量の処理にも対応できるようになります。

管理会計へのAI活用

管理会計の場合は、財務会計のような情報を記録することはもちろん、それをもとに今後の経営方針や事業計画なども策定しなければなりません。そのため、当然財務会計に利用するRPAも重要ですが、今後を予測するという意味ではAIを活用していくことも有効な選択肢です。

これまで自社が販売してきた商品とその売り上げ実績から消費者の動向を予測し、今後どのような商品やサービスが求められるのかを推論することはAIの得意とする分野のひとつです。マーケティング分野だけではなく、人事評価のような社内のシステムにも積極的にAIを活用する動きもあることから、管理会計も含めて今後多くの企業ではAIによる業務改革が進んでいくものと思われます。

財務会計と管理会計に共通して重要なのは誤りがないこと

財務会計と管理会計ともに共通して言えるのは、当然のことながら会計資料に誤りや虚偽の記載があってはいけないということです。財務会計の場合は株主や外部投資家が、管理会計の場合は社内の人間や経営者が、そこに書かれていることには間違いがないという前提で読んでいます。正確な情報を記すことは最も基本的なことであり、大原則です。それを理解したうえで、財務会計と管理会計の役割についていま一度理解を深めてみましょう。

また、今後働き方改革が本格的に進み、AIやRPAを使った業務自動化が進んでいけば、財務会計や管理会計といった複雑で面倒な業務も大幅に効率化するものと考えられます。財務会計と管理会計の特徴と、AIとRPAの特性を鑑みて導入を検討していきましょう。

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