MENU

for Ideal Design

デザイン思考 イベント

広島大学スマートシティ共創コンソーシアム まちづくりワークショップレポート

ビジネスデザイン 変化と体験 新たな問いへの挑戦

2024年9月12日(木)に広島大学、東広島市と民間企業で構成される「広島大学スマートシティ共創コンソーシアム」(以下、「共創コンソーシアム」という)の活動の一環として、「3Dモデルを活用した課題解決とまちづくりワークショップ」開催され、当社は企画及びファシリテーターとして参加しました。

共創コンソーシアム
Society 5.0やカーボンニュートラル、さらにはデジタル田園都市国家構想などの持続可能な未来社会像実現のために、民間企業の持つノウハウと資源、行政機関のコミットメントを融合しながら、広島大学のメインキャンパスである東広島キャンパスを活用し、スマートキャンパスまたはスマートシティの形成に資する活動を行い、その成果を周辺地域に社会実装することでイノベーションを創出することを目的としています。

Town & Gown Officeより引用

今回は「地域社会におけるつながりの希薄化」をテーマに、ワークショップを行いましたので、その模様をお伝えいたします。

開催概要


広島県にある広島大学(東広島キャンパス)にて、広島大学の学生、先生、共創コンソーシアムに参画している企業の方でグループワークショップを行い、ワークスアイディは、企画とファシリテーターとして4人が参加いたしました。

ファシリテーター4名


広島大学は、広大な敷地と自然豊かな環境に恵まれており、参加者の皆様もリラックスした雰囲気の中で、活発な議論を行っていました。
また、様々な地域や多国籍な学生が多く集う環境から、今回のワークショップでも多様なバックグラウンドを持つ参加者同士の交流が活発に行われたのが印象的でした。

開催場所である広島大学フェニックス国際センターMIRAI CREA(ミライクリエ)は、イノベーションを創出する国際的な活動拠点であり、広々とした多目的スペースには、夏休み中にも関わらず多くの学生が利用していました。

2階の綺麗な会議室をお借りしました

 

ワークショップ用の大きな模造紙。小腹満たし用にお菓子も準備

 

共創コンソーシアムの推進するTown&Gown構想のオフィスも

 

3Dモデルを活用した課題解決とまちづくりワークショップ

学生、先生、企業の入り混じった3チームに分かれ、テーマである社会課題「地域社会におけるつながりの希薄化」について議論してもらいました。

 

  • 高齢化と若年層の流出により地域の活力が低下している。
  • 忙しい生活や個人主義により、地域活動への参加意識が低下している。
  • 外国人住民などが増加しているが、既存の住民との交流が少ない。

など、近年の社会課題がある中で、東広島市も

  • 学生や若者の転出や低い市内就職率
  • 特定の産業に依存する産業構造
  • 市民満足度の低い公共交通

という、課題を抱えています。

しかし、強みとして

  • 大学の集積等による知的資源
  • 小学校から大学に至るまでの高い教育力
  • 豊かな自然環境
  • 100を超える国や地域からの外国人・留学生

などが挙げられ、これらを活用し、課題解決案をチームごとに1つにまとめ、コンセプトシートに落とし込むというのが今回の目的です。

また今回のワークショップでは、東広島市や多数の企業が関わっていることもあり、参加者が提案した課題解決案を、実際に具体的な取り組みとして採用する可能性があります。
学生たちの新鮮な視点や創造力を活かした提案が、地域や企業の現実的な課題解決につながるかもしれないという期待感が漂うワークショップとなりました。

デザインアプローチという取り組み


議論を進める中で、今回意識して頂いたのは「デザインアプローチ」という考え方です。
ワークスアイディでは、過去ウェビナーを開催したこともあり、デザインアプローチ(デザイン思考)をビジネスに活用することを推進しています。

簡単に説明すると、儲けなどのビジネス視点ではなく顧客やユーザー視点で考え、ユーザーが本当に求めている本質から課題を考える思考法です。
それを意識しながら、それぞれバックグラウンドの異なる3人のペルソナに合った課題や、アイディアの発見をしてもらいました。

また、タイトルにもある「3Dモデルを活用」に捉われすぎずに、まずは自由な発想でアイディアを出すことも大事にしていただきました。

エンパシーマップの作成

ペルソナの例

まずはエンパシーマップに、ペルソナの感じていることや考えていること、見ている、言っている、していることなどを、思いつくままに付箋に書き込んでもらいました。
学生の中には、用意していたペルソナに該当するような方もいらっしゃり、リアリティのある意見が飛び交いました。
 

エンパシーマップに思い浮かんだアイディアを書き込んでもらう

大きな模造紙に、各人のアイディアを付箋で貼り付け

実際に東広島市で学んでいる学生ならではの東広島市で感じている課題や強みが共感を呼び、アイディア出しの段階で皆さん積極的に発言されていました。

whatとhowの設定、アイディアの共有


ワークスアイディ社員がファシリテーターとして進行しながら、チーム内でフィードバックを行い、アイディアをブラッシュアップしていきます。

どのようなユーザーなのか?という顧客理解のあとは、どのような価値を?どのような施策で届けるか?というWhatとHowの設定を行いました。
 

チームごとに発表。
学生の皆さんは話し慣れており、分かりやすく、内容が明瞭に伝わる発表をしてくれました。

他のチームの発表を聞いて、評価や助言をフォームから投稿してもらいました。

コンセプトシートへ落とし込み

客観的な意見や新たな視点を参考に、最後にコンセプトシートに落とし込みます。
この時に大事なのが、「顧客」「目的」「役割」の3点を意識して整理することです。
 
「A(主語)がB(動詞)するために、C(名刺)の役割を担う」でコンセプトを表現し、それを具体的な「着目した体験価値」「コンセプトアイディア」「ターゲット」「シチュエーション」として考えます。
 


アイディアが多すぎて短時間ではまとめるのに全チーム難航していましたが、先生や企業の方々の豊富な経験に基づくアドバイスや、ファシリテーターからの助言で最終的にはアイディアを形にすることが出来ました。
 


最後に具体的なコンセプトシートを各チーム発表。

  • 東広島に戻ってきたくなる、魅力ある地域のオーナーを募集
  • 学生の運営するライドシェアで、交通の便の悪さと地域との交流不足、また学生の雇用創出、社会体験をサポート
  • 東広島を第二の実家と感じられるような、学生と地元の方々のマッチングプラットフォーム

短時間の中での作業だったため、サービスへの具体的な落とし込みや3Dモデルの活用には至らない部分もありましたが、どのアイデアも課題解決の可能性を秘めたものでした。
 


参加された方々からは、

  • デザイン思考で議論を組み立てていくのは初めてで難しかったが、とても勉強になったし、社会に出る上で必要なスキルだと感じた。
  • 普段話す機会のない多種多様な方々と議論できたのが刺激的で、いろんな角度から物事を考えられた。
  • ちょっとしたアイディアでも拾い上げて広げていく、とてもいい雰囲気だったので、上手に発散・収束が出来た。
  • 東広島市は、広島大学があることがやはり大きいように思うので、一体となって地域で盛り上げていきたいと感じた。

など、デザイン思考や学生、先生、企業を交えた会話が面白く、満足のいくワークショップとなった、という感想が多く見受けられました。

また、全員の意見を尊重するような雰囲気が議論を活性化させており、終始穏やかな様子でした。

ワークショップ終了後も、学部の違う学生同士の交流や、企業の方と学生が積極的に意見交換や情報共有を行っており、異なるバックグラウンドを持つ人々が集まったことで、新しい視点やアイディアが生まれ、ワークショップを越えた学びとつながりが広がっているのがとても印象的でした。
 

まとめ

今回が初回開催となった「3Dモデルを活用した課題解決とまちづくりワークショップ」。
今回上がったアイディアを参考に、次回開催時には3Dモデルを活用した街歩きや、より社会実装に向けた具体的な形での課題解決の議論に取り組んでいく想定です。

今後も実践的なアイディアの発展を目指し、引き続き積極的に取り組んでまいります。

また、インサイトの抽出や課題の検証、ソリューションの評価を進めることで、産官学が連携し、事業構想へと発展させ、地域の活性化に寄与する新たな事業の創出に繋げてまいります。