こんにちは、ワークスアイディの奥西です。
お客様とのミーティングで、
「うちもDXを進めています」「デジタル化に取り組んでいます」
というお話を伺う機会が増えました。
ただ実際には、紙の書類をデータ化したり契約を電子化したり……
こうした取り組みを「DX」と呼ばれることがあり、
前提の認識がズレたまま議論が進む場面も少なくありません。
言葉の定義があいまいなままでは、経営と現場の間にギャップが生まれ、
「どこまでできたらDXと言えるのか?」という終わらない議論に陥りがちです。
そこで今回は、コミュニケーションの認識齟齬をなくすために、
さらに、最近よく耳にする『AX(AI Transformation)』との違いについても考えていきましょう。
元々、言葉の定義に曖昧な部分があるのも事実ですので、ぜひ読者の皆様のご意見も伺えると嬉しいです。
デジタル化・DX・AXの定義
デジタル化
既存業務をデジタル技術で効率化し、部分的にユーザー体験を改善する取り組みです。
紙やExcelで処理していた業務をシステム化する、営業報告をクラウドで共有するなど、
DX(Digital Transformation)
デジタル技術を活用して、製品・サービス・ビジネスモデル、
ひいては収益構造や企業文化まで変革する全社的なアプローチです。
単なる自動化・効率化にとどまらず、
AX(AI Transformation)
DXの進化形として注目されています。
AI(機械学習、生成AI、自然言語処理など)を中核に、
顧客体験、ビジネスモデルを“AI起点”で再設計する考え方
DX … クラウド、IoT、モバイル等でビジネス構造を変革
AX … AIを中心に、価値創出と意思決定プロセス自体を変革
『AX』は“AIが可能にする新しい働き方・事業の仕組みを前提に
会社をデザインし直す取り組み”と捉えると分かりやすいでしょう。
(1)目的の違い
デジタル化
業務効率化、コスト削減、部分的なユーザー体験の改善。
– 例:
チャットボットで問い合わせ対応を迅速化。
営業見積の自動化でリードタイム短縮。
DX(Digital Transformation)
AI・デジタル社会での競争優位の確立。
– 例:
サブスクリプションなど新たな収益モデルの立ち上げ、
顧客データ活用による高度なパーソナライズとLTV最大化。
ゴールは、
(2)対象範囲の違い
デジタル化
特定部署・特定サービス・特定プロセスが対象。
– 例:
電子契約の導入で押印業務をクラウド化し、手続き時間を短縮。
DX(Digital Transformation)
企業全・体を貫く“エンド・ツー・エンド”の変革が対象。
製造業であれば、工場のIoT可視化に留まらず、
調達・製造・物流・販売・アフターサービスまで
(3)投資スタンスの違い
デジタル化
短期ROI(投資対効果)を重視。
数カ月〜数年で投資回収できる案件が中心で、
DX(Digital Transformation)
中長期の戦略投資。
新規事業、M&A、共創など、価値顕在化まで時間を要する取り組みも多く、
短期ROIに囚われすぎると進みません。
ビジネスモデルや企業文化の
マイルストーン設計が重要です。
(4)主体(誰が主導するのか)の違い
デジタル化
現場主導になりやすく、情報システム部や各事業部が推進。
DX(Digital Transformation)
経営主導で全社横断に推進。
営業部門だけがAIで効率化しても、それはデジタル化に留まります。
経営戦略として「顧客接点を再定義し、サービスモデルを刷新する」。
ここが
まとめ
デジタル化 … 部分最適・効率化・短期ROI・現場主導
DX … 全社最適・競争優位の確立・中長期投資・経営主導
AX … AIを中核に意思決定と価値創出プロセスを再設計
AI時代のDXは、ツール導入で終わりません。
その覚悟が成果を分けます。
ワークスアイディがご支援した製造業のお客様では、
生産計画の意思決定にAI・機械学習を導入しました。
これまで、ベテラン担当者がExcelやサブシステム、そして“経験と勘”で
組み立てていた計画を、需要予測に基づくAI提案で高度化。
初期は「AIに任せるのは不安」という声もありましたが、
過去データや熟練者の知見を学習に反映し、計画精度を継続的に改善しました。
結果、担当者は単純調整から解放され、改善活動への時間投資が増加。
「私の仕事をアップデートしてくれた」という現場のポジティブな声が印象的でした。
ぜひ皆さまの組織でも、『デジタル化』『DX』『AX』を同じ土俵で議論し、
目指す“X”の姿を言語化してみてください。
それでは、本日もGOOD JOB!!
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